第22回臥龍桜日本画大賞展


臥龍日本画大賞展は高山市が主催する 日本画の登竜門的な公募展です。
『既成の分野 会派の枠を超え未来を担う真摯で想像力のある作家の発掘、日本画の新たな可能性の開拓を目指す』ことを掲げられている。
写真は今年の大賞作品です。

私は20回に初応募し落選してしまいましたが 来年は再チャレンジしようと 開催されている展覧会を見てきました。
有名な大きな日本画の展覧会より ずっと心に迫ってくるものがありました。

この大賞作品も 画像で見てはいたのですが 実物はほんとうに素晴らしかったです。
それ以外の作品も どれもそれぞれの気迫とエネルギーに満ちていて 圧倒されました。
こんな激戦の公募に よくいきなり応募したなあ と あらためて思いましたが
でも それに挑戦できたことは とてもよかったと確信しました。

会場で熱心にみていると 美術館の館長さんが声かけてくださって 作品についていろいろお話してくださいました。そして 会場にいらしていた審査員の先生に紹介していただき お話を伺うことができました。
美大を卒業してから こうして直接画家の先生に絵についてのお話をお聞きするのは 初めてで とても緊張しそして感激でした。
ゆっくり時間をとって とても丁寧に熱心にいろいろなお話をしてくださいました。この公募の作品についてから、審査の時のお話 そして描くことについて 絵の構図など具体的なことも 紙に図を描きながら 説明してくださいました。
お話を聞きながら 私の中で深く沈んでいた想いに光が当たり 揺さぶられ、再び動き始めたのが感じられました。絵を描くこととは そういうことだった!
そうか ここに進むべき道がある。。。

そして 早速その瞬間から 来年の作品に向けて 動き出すことにしました。

岐阜県美術館所蔵 ルドンとその周辺ー夢見る世紀末展


■10月15日(土)〜11月13日(日)

ルドンについては ほとんど知らずで 友人からよかったと聞いて観にいきました。
白黒の小さく繊細な画面の中に 異界が広がっている。
目玉が気球になっている。それを観た水木しげる氏が目玉親父を生み出したとか。

私は白黒時代の作品より 色で描かれた作品のほうが惹かれるものが多かった。


『ルドンの孤独な芸術は、創造する側と鑑賞する側、双方に想像力を要求する20世紀モダニズムの芸術観を先取りしており、また、イリュージョニスムに依存しない空間創造や黒を含む色彩の自立性など、絵画造形の面でも優れて先端的でありました。
外界の記録を旨とする自然主義全盛の時代に、あえて夢や幻想などの世界に踏み込んだルドン。』解説より抜粋

今 こういう世界は案外ごく当たり前に描かれているものかもしれないけど 当時としてはとても斬新で
沢山の芸術家に大きな影響を与えることになる。

それと 19世紀末の芸術家達が 科学万能の世界に警鐘を鳴らして云々。。という時代だったようだけど
歴史は進んでいるようで進んでいないのかな。同じところをぐるぐる回っているような錯覚を覚えた。

今の時代にでは 何を描けるのか。。
そんな大そうに時代を背負ってるわけではないけど でも 今の自分に出来る事は。。と考えながら
観ていました。

ルドン関連の画家の作品も少し展示されていて その中でムンクの作品が 一番印象的だった。

あとから 思い返しても それが 一番焼きついている。

『ノルウェイの森』

原作は2回読みました。
私は一応村上春樹のファンです。作品は好きなものが多いです。
村上春樹の作品の中では世界的に人気が高いですが
私にとっては 2回読んでみたけど 上位ではない作品です。
なので 原作に思い入れがそんなに無かったので 映画はそれに苦しめられずに
楽しむことができました。
配役はそれぞれ 良かったし 舞台となった草原や森の雰囲気がよかった。
療養所の建物の雰囲気はイメージとちょっと違っていましたが 全体の空気や色彩は
原作を読んで無くてもその世界を感じることができたように思う。
思わぬところに 糸井氏 高橋幸弘 細野晴臣が。。細野さんのレコード屋はぴったりでした。

全体の映像と音楽で映画として 原作の雰囲気を伝えていたと思う。
音楽が印象的で心地よく耳に残りました。

市展

地元の市美術展に50号の作品を出品しました。
今回は琵琶湖の湖上に浮かぶカヌー。画面の大半を水が占めています。

これが まず小さいサイズでの小下絵の最初。
この線描きを50号の大きさに拡大して
草稿を作ります。
途中で画家の友達に絵を見てもらったら「難しい題材にしたのね!」と言われてしまいました。
湖が光っているのを表すために今回は水の下地にパールを使いました。

その上に水干絵の具 そして岩絵の具を重ねてゆきます

何日もかけて何度も重ね塗りし 搬入の日の午前中まで描き続けました。

来週には会場で展示されます。
家で観ているのと そういう場所で見るのでは かなり違った印象になります。
また 仕上げて搬入してからしばらく日が経つので
観にいけば 客観的に自分の絵を観られると思う。
描き上げて まず思ったことは まだまだこれからだなということ。。
でも こうして毎日描くことが まず大事。

ラジオで小説家が 何が大事って とにかく毎日書くことですと 語っていた。
人によるのかもしれないけど でも そうなんだろうなと 説得力はあった。

『ブタがいた教室』

この原作の本は 随分前に読んでいた。

豚のPちゃんと32人の小学生―命の授業900日

豚のPちゃんと32人の小学生―命の授業900日

ブタがいた教室 (2枚組初回限定版) [DVD]

ブタがいた教室 (2枚組初回限定版) [DVD]

ある小学校の六年生のクラスで コブタの飼育を子供達にさせ 大きくして それを食べる
という試みの その提案をし実践した教師がその記録をまとめたもの。

原作では 教師の生の声 その思いや葛藤がとてもリアルに書かれていたし 子供達のそれぞれの姿も 実話だからこそ 真に迫ってくるものがあった。
この授業は 正しいとか 間違っているとか そういう答えは無く 命に向きあって
子供達が まわりの大人たちも 真剣に考え続けてゆくもの。
その 考え続け向かい合って その結果をちゃんと出したこの子供達 先生 見守った保護者。。 現実的に考えて よく そこまでできたなあと 感服したのでした。

映画ではそれらが かなり さらっと描かれていたように感じたけど
子供達の議論が どれも胸を突くものがあった。
一緒になって私も 考えに考えた。 私は殺して食べたことで よかったと思う。
でも ペットのようになってしまったブタを そうすることは 12歳の子供達にとって
酷なのではないか?という気もしてしまった。でも 子供達は大人が考えるより タフで
柔軟性があるようです。
それぞれひとりひとりが 素晴らしい子供達でした。

あまりにも 生き物の命をいただいて生きていることへの 実感がなくなっている状態こそ
一番残酷なことだと思うのです。



 

PooKa+ 酒井駒子 小さな世界

酒井駒子 小さな世界 (Pooka+)

酒井駒子 小さな世界 (Pooka+)

「よるくま」の絵本から その後酒井駒子は 飛躍的に世に出て 今では世界的な絵本作家。
(よるくま の時のプロフィールには 肩書きがイラストレーター とある。)

この人の作品はどんどん良くなってきていると思う。
いや、元々あった稀なる才能が、後になればなるほど、伸び伸びと十分に発揮されてきたのだろう。
この人は まず、画家だと思う。その才能をそのままストレートにではなく 絵本というカタチに はめていって その 枠の中で きっと 葛藤があり それがあって そこから
より その力が増して昇華されて 世界に認められる作品になっていった。。そんな印象がある。これは私のとても個人的な感じ方かもしれませんが。。

色 形 線 どれも もうたまらないくらいに惹かれてしまう。
平成のいわさきちひろ という評をどこかで読んだけど この人の描く子供は凄いと思う。
子供の かわいいだけでない、うつくしさ 
そして それだけではない、真の魅力を 鋭く捉えて放っている。子供の持つ闇の部分も、
しっかりと描き射止めている。
だから うっとりして眺めてしまうし なんだか泣きそうになってしまうのだ。


いつかぜひ 原画を見てみたいと思う。

私も 今 子供がモチーフの絵を描きかけている。この人の絵のように 描き出せるといいなと願いつつ。。

『偉大なるしゅららぼん』 万城目 学

偉大なる、しゅららぼん

偉大なる、しゅららぼん

鴨川ホルモー 京都
鹿男あをによし 奈良
プリンセス・トヨトミ 大阪

に 続く第4弾のこれは 湖国 滋賀が舞台。
琵琶湖畔の町に代々住み続ける 日出家 棗家の 両家は 秘密に守られ受け継がれてきた偉大な「力」があった。その両家は 長い年月、敵対関係にあった。日出家の血を受け継ぐ 日出涼介が入学した高校で 同じクラスには 日出家本家の御曹司、日出淡十朗、棗家の跡継、棗広海がいた。お互いの力がぶつかり合う時に その音が。。。

滋賀県民の私にとって とても身近な場所が登場し そこで 壮大な物語が繰り広げられてゆくのは とても楽しめた。世界でも有数の古代湖である 琵琶湖には そんな偉大な力が 潜んでいても けっしておかしくはないと 感じられるのでした。

物語として とても 面白く どんどん引き込まれていったのですが
でも 今回 過去の作品に比べて なんだか 忙しないというか ストーリーを追う説明に
筆をとられて、その空気感や 情景を 楽しむ余裕が少ないような せっかくなのに
もっと なんか。。 というような 読後感が残ってしまった。

忙しない割りに、スピード感が心地よい 展開の速さならいいのですが 妙に真相をひっぱってのばしてゆくような不快感を少し感じてしまった。

案外映画になったら 面白いストーリーかもしれないけど。。
素材 物語は面白かったし 身近でもあり期待していたので なんか 残念。。