*[絵本]『ねずみ女房』ゴッテン作

ねずみ女房 (世界傑作童話シリーズ)

ねずみ女房 (世界傑作童話シリーズ)

普通のねずみとは ちょっと違ったねずみ女房。ほかのねずみの奥さんと 同じように生活しているけど でも 何かが足りないと 感じている。そんなねずみ女房に 夫は 「これ以上何がほしいというのだね?」 とたずねる。
ある日 ねずみの住む家の人が捕まえた鳩をかごに入れて家に置く。 その鳩とねずみ女房の交流が生まれる。鳩は外の世界の話を ねずみ女房に話してきかせる。外の世界に戻りたい鳩は かごの中で弱ってゆく。そしてねずみ女房はこの鳩を逃がしてやる決心をする。そうしなければいけないと突き動かされて。
そして、外の世界の話を伝えてくれる存在は飛んでいってしまうが その時
ねずみ女房は 今まで観たこともない 外の星を見つける。
そして、ねずみ女房は星を見た〈大人が読みたい子どもの本〉

そして、ねずみ女房は星を見た〈大人が読みたい子どもの本〉

この本に取り上げられていたので この本を知ったのですが 清水真砂子さんが
的確に このお話の魅力をあますことなく ここに書かれています。
詩人の矢川澄子は ねずみ女房を 『堂々たる姦通賛歌』と評している。
でも 確かにそういう面もあるかもしれないけど もっと 遠くの深みを 
この本は示している。
鳩を 逃がさなかったら また 鳩と一緒に逃げてしまっていたら
それは ただの通俗小説になっていただろうと。

この結末だからこそ 読む人の心の奥を揺さぶるものがある。ねずみ女房の心境に
打たれるものがある。