京都市美術館コレクション展 第3期 儚きもの


http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/exhibition/collect_3-2009.html

京都市美術館へ、大きな展覧会の方をメインで観にいったのだけど、こちらの展覧会の方が
ずっと 心に来ました。
儚きもの というタイトルに惹かれ、以前にもコレクション展はよかった記憶があったので
2つ観ると割引にもなるし、なんて軽い気持ちで入りました。
古典的な日本画の作品からはじまって、やっぱりいいなあ とうれしくなりつつ、
でもがらんとして誰もいなくて、贅沢に一人の空間でじっくりと見て回っていました。
部屋を進んでいくと、昭和の日本画の作家の作品。大好きな秋野不矩、池田遥邨の作品もあり
それぞれ個展などで以前に見た覚えもあり、やっぱりいいなあとしみじみ鑑賞。
ふと 目の端に入った作品に もしやと近づいていくと、中野弘彦先生の作品「無常」が。
個展で拝見したことのある作品。無常がテーマで、京都四条にある何必館で開催されていました。

中野先生は学生時代4年間、お世話になりました。ここでは語りつくせないくらい、たくさんの
思い出のある恩師です。卒業して何年も過ぎてからの、私の陶作品の個展にも、観に来てくださいました。
いつか、わからないけど、日本画を再開して、先生に観ていただきたい。そんな思いは
ずっと心の奥の奥に、ひっそりと仕舞いこんでいましたが、消えることはなかったのです。
でも先生は数年前に他界され、それは、かなうことは無くなってしまいました。

そして月日が流れ、ようやく日本画を再開した今、偶然にも、先生の作品と再会しました。
無常 ・・ その作品の前に立つと、作品に込められた思いが、胸に迫ってきて
動けなくなってしまいました。先生が、そこに居られました。長い長い時間、ずっと、観ていました。
先生、私は今ようやく、日本画を再開しました。
先生の教えを思い出しながら、描いていこうと思います。