東山 魁夷 青の風景

東山魁夷 青の風景

東山魁夷 青の風景

 東山 魁夷 の作品は 中学生の時 教科書にエッセイと共に紹介されていて
その時知りました。
その文章と絵は とても印象に残っていました。

その後自分が日本画を学ぶようになり 絵の世界に入って行くと東山魁夷 の絵は
なんだか物足りなくて 興味の対象ではなくなっていきました。
絵描きの学生達にとって もっと刺激的な 生々しい作品が 魅力的で 
宮内庁に買い上げられるような 大家の作品は 敬遠していました。

その後
いつのまにか月日は流れ 意識も変化していったのか
先日 この本が 図書館で平置きされていて このタイトルのない表紙の絵に
とても惹かれて 手に取りました。

この本には 描かれた年代に沿って 代表的な作品が 簡素な紹介文と共に
載っています。

その どれもが 今 とても 心に染みてくるのです。
私が いつも観ては心奪われている 美しい風景の その魅力が
そのままに描かれている と 感じます。
そこには 風景を通して 語りかけられてくるもの。
言葉にならない言葉が ありありと伝わってくるのです。

そして この表紙になっている風景は 絶筆であり
それまでは どこかに存在した場所を描いてあるのですが
これだけは 氏の夢の中の風景だそうです。

膨大な各地の風景を描き続け そしてたどり着いたこの青の風景。
氏のたどり着いた 極楽の天上世界のように思いました。