生誕100年南 桂子展 


ポスターを観て、なんの前知識もなく、あき時間があったのでふらっと観に行ったのですが

会場入ってすぐの初期の作品から いきなり惹きつけられてしまった。 銅版画に至る前の油彩作品の一枚に
しばし目を奪われ。。 その次にあった初期の銅版画を見て 
ああ、これはもしかして久々の衝撃的な出会い、だと思った。

その後時代を追って展示されている作品は変化しながら でも どの作品にも 南桂子の宇宙が 哲学が
そして深い深いところに流れる 心揺さぶられる強烈な叫びがある。。と私は感じてしまった。

でも それは 静寂と沈黙の中に秘められていて、一見したところ みな メルヘンやファンタジー
風情があり、かわいらしくまとまっているように見える。

図録の中で書かれてもいたけど、いや ファンタジーやメルヘンの中にこそ そういうものが
隠されているものなのかもしれない。。と。

私はまさにそう思います。物語の中にある真実。

南桂子 という人のことはほとんど知らなかったけれど、この展覧会で 彼女の生き方そのものが
小さな作品の中の目を凝らすと見えてくる点描の点のひとつひとつから、とても迫ってくるものがあった。

銅版画独特の色彩、繊細な線の動き。
絵の中にある 小さな葉っぱや 少女の髪の毛 鳥のたたずまい、その後ろに広がる空間。
家の屋根、丘の曲線 。。。

彼女が一作一作に向かい合って、試行錯誤しながら、作品として浄化して昇華されて
生み出されたカタチ。

絵として目に見えるカタチを通して 目に見えない、心奥に届く手紙を直接受け取ったような
そんな衝撃がありました。

この展覧会を観たあと、絵を描きたいというはげしい衝動にかきたてられたのでした。