京の閨秀・女流・女性画家ー担ったもの/担わされたものー


http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/exhibition/collect_2-2010.html京都市美術館 7月3日〜9月5日
ボストン美術館展に行こうと、東山の駅を出たところに、この展覧会のポスターが貼ってあり、目が引き寄せられた。
これは、観なくては! コレクション展は過去に二度ほど観ています。いつも、他の大きな展覧会を観に来たついでに覗くのですが
本命の展覧会を凌ぐくらい、印象深いものでした。

今回も、素晴らしかったです。

一部屋目に足を踏み入れた途端、ふ〜っと外の雑踏や暑さの疲れが引いてゆくように、美しく、静かで、静謐な空間でした。
柔らかで、力強く、選び抜かれた線と、色彩。衣の美しさ。
よく知っている上村松園の作品、他、あまり知らなかった作家の、斬新な作品。

そして、梶原緋佐子の作品が、かなりたくさん、観られてよかった。冊子を読んで初めて知ったのですが、菊池契月の門下生であった時代
なかなか認めてもらえなかったとか。「きれいに着飾っただけの女ではなく、切ったら血の出るような女」を描いた彼女は
まわりの端正な美人画の中では特異だった。

ポスターになっていた「帰路」実物を見るのは初めてで、しばし前を動けずに見入ってしまった。
「暮れ行く停留所」は、一度観て、強烈な印象が残っていた。
ここに描かれた女は、まるで長編小説のように、その姿を表現していると感じる。
胸に迫ってきて、苦しくなってしまうほど。

そのあと、大好きな秋野不矩の作品があり、ほっとした。初期の「砂上」があった。インドの作品も好きだけど、
この、砂の美しさ。砂の暑さ、手触り、夏の光が、手に感じられるようだった。
後々のインドの土や光の表現に繋がってゆく。

一緒に観にいった友人は、日本画を今まで全く観たことがなかったが、「日本画って素晴らしい、感動した・・」と
大変喜んでいました。

ボストン美術館展は待ち時間もあり、大勢の人が詰め掛けていましたが、こちらは空いていました。
この展覧会も、是非観てほしいと思いました。