みみをすます
箔を押した上から、絵の具を何種類も何回も重ねていくうち、こんな感じになってきました。
何度も重ねていくうちに、平面だった画面が、平面ではあるのですが、だんだんと、その世界が
奥行きを持ちはじめる。絵の具と筆と画面の関わり方で、無限のマチエールが表れる。
幼い頃、図工の時間に絵の具を筆でパレットの広い部分になすりつけて、その度に表れる不思議な模様が
面白くて、何度も何度も飽きずにやっていたのを思い出した。(画用紙に絵を描くのも忘れて・・)
無限に表れる不思議な造形は、いろんな形に見えてきて、時にハッとするほど奥行きのある風景になり、
そのリアルさにしばし見とれてしまったこともあった。
平面が突然立体に感じられる瞬間が、ドキドキするほどの興奮と感動だった。
あの頃の私と今筆を動かしている私は、変わりない一本の線でつながっているのかな。
延々と絵の具を重ねていくうち(時には剥がして下の色を覗かせながら)突然その色彩がなにかを語り始める。
あ。きた。。。 と思うのです。
自分の手で作品を制作しているのだけど、ふと、すでに存在するものを、ただ探し当てているだけなのかな。。
という気持ちになってくるのです。次にこの色? そこでこうする? と、問いかけては答えを受け取って
それに従っているような。その答えはいったい誰がくれているのだろう?
それは、頭で考えて分かるものではなく・・経験から引き出しているのとも違う気がする。
でも、行くべき道はちゃんと示されていて、導かれている声に耳をずっとすましている。
みみをすます 谷川俊太郎の詩
- 作者: 谷川俊太郎,柳生弦一郎
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1982/06/30
- メディア: 単行本
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