猫の本

藤田嗣治画文集 「猫の本」

藤田嗣治画文集 「猫の本」

日展覧会を観に行った、フジタの作品の中から猫作品だけを集めた、ちょっと絵本のような作品集です。
今から20年以上前は、今みたいな猫ブームではなく、猫に関するものは、型にはまった、ただ、可愛らしいだけもの、しかなかったように思います。写真でも置物でも、イラストでも絵画でも・・・。
物心ついた時から猫と暮らし、猫が特別な存在だった私にとってそれはとても不満だったのでした。猫の魅力はそんなもんじゃないっ。
でも、フジタの猫の絵をはじめて見たとき、ああ、猫はこうでなきゃ・・・。
って、心底うれしくなって感激したのでした。
自画像に一緒に描かれた猫は、ほんとに、猫でした。おもわず駆け寄って握手したいような喜びだったなあ。
もちろんフジタの作品の素晴らしさは簡単に語りつくせない程のもので、猫はその一部でしかないんだけど、そういう人だからこそ、描けたものだと思う。

私は陶で猫の作品を作っていた時期があり、その関連から猫の絵も描いたこともあったけど、今は猫を作品にしようとは、何故か思わないのです。
でもまたそのうち描く絵に猫がでてくるかもしれないな、とは思います。
そして描くなら、ほんとうの猫を描きたいと思います。