パネル貼り

よくやく草稿が完成したので、いよいよ本画にかかりました。
まずすることは、本画の紙を木でできたパネルに貼ります。洋画でいうキャンバスを作るのです。
日本画は、だいたいが雲肌麻紙(くもはだまし)という紙に描きます。これは昔ながらの和紙で、とても丈夫で
色味や手触りがなんとも味があって、素晴らしい紙です。生紙で買うと、にじみ止めのドーサ液をまず紙に塗ります。今回はドーサを前に引いていた紙があったので、その手順は省きました。ドーサ液は、絵の具の接着液である膠にミョウバンを溶いて作ります。

これは膠。膠は動物の骨などから作られるもので、独特の臭いがあります。膠は乾燥した固形で売られているものを買えば、水につけてふやかして、熱を加えて水に溶かして作ります。この液で絵の具をといて使います。

紙をパネルに張るには、紙に刷毛で十分に水を含ませて、パネルの縁にふのり塗って、手で押さえて貼り付けます。今回は小品なのですぐにできましたが、これが100号などになると、かなり大変な作業です。
水で伸びて重くなった紙を、パネルにぴったりの場所に、浮かして、真ん中から空気を外側へ抜くようにゆっくり置いていきます。大きな紙だとこれが大変で、学生のときは友達どうして協力しあって、二人かかりで紙の端と端を持って、やっていました。うまく張れないと、乾いたときに引きつれが起こってしまいます。

パネル貼りができました。ここへ草稿からの転写です。カーボン(水溶性のもの)を使うか、濃い鉛筆を塗って作った自作の転写紙を裏に挟み、赤鉛筆などで(どこまで転写できたかわかるため)線をなぞって行きます。
転写ができたら次は墨でその線をなぞります。それが 骨描き。それはまた次に・・・。