阪急電車 有川浩

阪急電車

阪急電車

映画を観てみたいと思い、それならまず原作を読んでみようと思った。阪急電車のある沿線で電車内で
不思議な縁で関わりあった人たちの、それぞれの物語。

私も昔は私鉄で通学していたことがあり、その車内の風景や様子に 親しみを持ってイメージすることができた。
乗り合わせた人たちのそれぞれに、どんなドラマがあるのかな、、と想像して眺めていたこともある。

この物語の中心的な存在の翔子は、会社の同僚にフイアンセを寝取られたOL。
その二人の結婚式に真っ白なドレスで乗り込んでゆき、
結婚式の引き出物を下げたそのドレス姿で阪急電車に乗っていた。
その姿を見て 声をかけた老婦人。。
そこから 話は またそれを見ていた他の乗客が主人公となり。。続いてゆく。
お互い気になっていた二人の恋の始まりや、また別の二人の別れのきっかけ
偽セレブ奥様グループから抜けたくても抜けられないで居る主婦。。

それぞれに 偶然乗り合わせた不思議な縁でちょっとずつ 元気になってゆく。
エピソードとして 面白いし微笑ましく思うものもある。町の描写もリアルで、自分が散歩している気分にもなる。

ラスト近いところに登場する小学生に 声をかける翔子。
仲間から孤立しつつも精一杯幼いなりに凛と生きようとしているその小学生に昔の自分を見て、
エールを送りながら、自分も励ます翔子。

このシーンで思い出したことがある。私が20代くらいの頃、電車の中で女の子3人連れ
リーダー格の女の子に 理不尽ないいがかりをつけられ、大人しそうな女の子は 今にも泣きそうな表情をしていた。
その線の細い女の子に 私は 何も言ってあげられなかった。心の中で 私はあなたの味方だから。。
とつぶやいただけ。もしも今なら声をかけることができそうに思う。(たぶん。。)

この小説のそれぞれの物語は 私にとっては真に胸に迫ってくるものが、残念ながら無かった。
私なら。。声をかけられないままの主人公と 声をかけてもらえなかった小学生の物語になってしまう。
でも その出会いは、すれ違いであったけど何か私に残ったし、その小学生の女の子も、それを知らないままでも
きっと彼女はしっかりと成長していってくれてると思う。

映画は観てみたいと思います。