夜明けの縁をさ迷う人々 小川洋子

夜明けの縁をさ迷う人々

夜明けの縁をさ迷う人々

小川洋子の[人質の朗読会]に続いて、一部並行読みで読んだ。

これも短編集なので、上記の人質達の物語のひとつなのか?という錯覚を起すような物語もあった。
中にはぞっとする異界に触れるような話もあったが どれも タイトルにあるように、
夜明けに辿りつくことができず、その場所の住人になってしまった人達が登場する。
夜明けの縁。そこは 四次元世界のように 限りなく深い、淵 でもあると思う。

どの物語も底知れぬ冷たさと、でもその世界においても  生きている証の体温を感じ
その存在は 遠くであるけど とても身近にも思えて、愛しくなってしまう。

そんないくつもの物語の中でも[イービーのかなわぬ望み] が 特に心に刺さるものがあった。