『泉に聴く』 東山魁夷

泉に聴く (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

泉に聴く (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

東山魁夷の作品に円山公園の満開の桜と満月の絵がある。その制作のことを書いたエッセイが中学の時の教科書に載っていた。当時は日本画がどんなものかも知らず、ましてや自分がその後専攻することになるとは夢にも思っていなかった。でも
その文章はずっと印象に残っていた。
満開の桜と満月が揃う可能性はかなり稀である。
そういう絵を描くために その時に出会えるのを待つ。風景との出会いも一期一会。

著者の若い頃の、終戦後の大変な話、どん底であった時期。日展に落選したこと。。 でも そこから徐々に画家としての確かな道を歩き始める。

道 という作品がある。だた 一本のまっすくな道が遥かに続いてる作品。
とてもシンプルで、押さえた色調で 目をひく斬新さもないけど
でも なんか目が離せなく、吸い込まれるように見入ってしまった作品だった。

風景画ではあるけど、その人そのものが ありのままに表れていた。
そういうことだったのかと あらためて この本を読んで納得したのでした。