光 三浦しをん

光

小さな島に暮らす人達を大津波が襲う。住民達はほとんどが死に、わずか数名が生き残る。その当時中学生だった主人公は、津波の直後に殺人を犯してしまう。それは、大災害と共に葬られて 月日は流れる。

全編、重く苦しい気分のまま、読むのがしんどくなりながら、でも読み進めてしまった。きっと どこかで なんとか救われるのではないかと、期待しながら・・・。
でも、事態は救われるどころか、過去の影がより暗さを増し、消えることなく蘇ってくる。
これも、「私が語りはじめた彼は」のように、それぞれの立場で物語が語られてゆく。
暴力の連鎖は、断ち切られることなく続いていってしまうのか。この先に光はあるのか。

「暴力に暴力で返したものは、もう人間の世界にいられないかもしれない」

哀しいとか 切ないとか そういう感情ではなくて、(そういうのは甘美でもある)
では、いったいどうすればよいのか。。ただ、答えをみつけられないまま、立ち尽くしてしまう。