スイートリトルライズ

スイートリトルライズ

スイートリトルライズ

江國香織の作品は、何度か読みかけて、なんか合わなくて途中でやめてしまった覚えがあって、その後敬遠していました。
{{夫婦について考えさせられる本}}としてたくさんの方が挙げられていたので、読んでみました。
テディベア作家の瑠璃子と会社員の夫、聡。それぞれの世界をもつ二人。
そこには嘘があり、それでも、同じ部屋に帰り、一緒に暮らしてゆく日々。「淋しさは人間の抱える根源的なもので、自分1人で対処するべきで、誰かにーー例え夫でも、救ってもらえる類のものではない。」
全編に漂うものが、この行に凝縮されているように思った。
どこまで行っても、なにかの膜に包まれたみたいに、その中から決して外へ出る事のできない 個(孤独)を感じる。
これって絶対的なものなんだろうか、それとも・・
その膜が破れて、外に流れ出ることはないのか、いや・・
もしそれがあったとしたら、ビデオ画面の中に納まっているはずの貞子が、突然画面からこちらへやってくるような ものすごいことなのかもしれないな。

読んでいる最中は、それぞれの立場をそれなりに理解し、納得しつつ読んでいたつもりだったけど、読み終わって・・ 
まさに やはり 考えさせられる小説 でした。