長谷川潾二郎画文集 静かな奇譚

長谷川〓二郎画文集 静かな奇譚

長谷川〓二郎画文集 静かな奇譚

以前読んでここでも紹介した洲之内徹の本http://d.hatena.ne.jp/mitsu5/20100504/1272977054
の表紙になっていたのが、長谷川潾二郎の猫の絵でした。
この本で名前をはじめて知ったのだけど、その後、この春から初の大回顧展が開催されていて、日曜美術館でも取り上げられていた。

画文集、である。その文章が、また、ひとつひとつすばらしいのです。
「よい画はその周囲をよい匂いで染める。
よい画は絶えずよい匂いを発散する。
よい匂い、それは人間の魂の匂いだ。
人間の美しい魂の匂い、それが人類の持つ最高の宝である。」

この本は朝日新聞の読書欄でも紹介されていて、美術家の森村泰昌がその文章を「志賀直哉以上だ」と感心したと。
「絵も文章もそして人生も美しかった。そしてその美はあまりにも謙虚で物静かで押し付けがましいところがなかった。」と。

絵を観ていると、ほんとうに物静かである。でも、ひしひしと伝わってくるものが、確かに存在する。
ことばにならないそれを、感じてくれる人がいるだろうか。。と彼は記していた。
実物の絵はまだ一枚も観ていないけれど、それでも、確かに、きました。深いところへと静かに。でもしっかりと。

実はまだこの画文集、読破していないのです。まだほんの最初の方を読んだだけで。
なんだかもったいなくて、これを読むにふさわしい時間と空間が持てたときに、
またじっくりと味わいながら読もうと、楽しみに手元に置いて、この表紙絵をしみじみと眺めているのです。
(それだけでもしあわせなきもちになれるのです!)