洲之内徹が盗んでも自分のものにしたかった絵

洲之内徹が盗んでも自分のものにしたかった絵

洲之内徹が盗んでも自分のものにしたかった絵

表紙絵の猫にひかれて思わず手にとった本。
でも正解でした。ぱらばらと中を見てみると、猫の絵はこれの他に1点だけでしたが、他の絵がそれぞれ
とても惹かれるものがあったので、じっくり読んでみたくなったのです。

洲之内徹は画廊を経営し、芸術新潮に「きまぐれ美術館」という連載を長年執筆。
画廊業の前には小説を書き、芥川賞候補に幾度も挙がっていた。

彼の目にかなった絵と、そのエピソードの数々。絵と、絵描きの真髄を観ることのできる人の言葉には
救われる部分と、突き落とされる部分があった。
他人を意識することを汚らしいこと、と言い切り、いい絵は勉強して描けるものではない、巧くはなっても良くはならないと。そして、「辻褄を合わせようとする嘘、嘘というものの性格は日常生活でも芸術の世界でも同じだが、芸術の世界では致命的なものではあるまいか」

表紙の猫の絵のエピソード。
この猫の絵だけは6年前に完成していて、譲ってくださいと頼むと、ヒゲがけまだで、このポーズは年に2回ほどしかしないから、それをするまで待ってくれ、といわれて、本当に待っていたそうです。
この絵、実物はみたことないけど、本で観ていても、みれば観るほど うわぁ。。。と惹きこまれるのです。
盗んででも欲しかった絵・・かも。

この本を読んで、絵を描く自分も(ほど遠いところにいるわけですが)描くということは。。と
あらためて思い直し、自分なりに叱咤激励されたと受け止めて。。気を引き締めさせてもらったのです。