袋小路の男

袋小路の男 (講談社文庫)

袋小路の男 (講談社文庫)

川端康成文学賞を受賞した作品。
高校時代から続く思いを胸に微妙な距離を保ったままの2人。作家を目指すもなかなか芽が出ずにいる男と
会社員として働き、他の人とも付き合いながらも、ずっとその男を思い続ける女。
12年思い続けて、最後にも袋小路に追い詰めることはなく、その距離で静かに存在し続ける。

離れてしまっても、出会うべき人にはちゃんと出会えるようになっているんだろうな。
絲山秋子の小説は、現実離れしているようで、真実がある。こんな話ありえないだろう、と思うけど
でも語られているのは、形は違うかもしれないけど、すごくリアルに存在していることなんじゃないかな。
だから、引き込まれてしまう。