学問

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幼馴染の4人、主人公のフトミ、その隣に住むチーホ、食いしん坊のムリョ、そして物語の中心となるテンちゃん。7歳の彼らの秘密基地での出来事やら、その日々の細やかな気持ちの動き、そしてその後、中学、高校までの、成長しながら変化してゆく。そして最後にはそれぞれの死まで描かれている。各人とても個性的で、しっかりと自分の道を、子どもの時からもう歩いている。成長するにつれて、よりそれぞれの人生になってゆき、違った道へ向かうのだけど、幼馴染の繋がりは、しっかりと続いている。転勤族だった私にとってそういう仲間は羨ましいし未知のものなので、一緒に疑似体験させてもらった。
特に幼い日々の出来事、その時々の思いなど、まるで今見てきたかのように鮮やかで克明に描かれていて、私も自分のそういう時代、すっかり忘れていたのを遠い記憶から手繰り寄せて、断片がいくつも思い出されてきた。そういう記憶は普段はすっかり日々の現実の中で埋もれて出番を失っているかのようだけど、今の自分の陰に確実に存在してるんだなあ、とあらためて思ったり。そしてやっぱり私もいつか人生の終わりがやってくる。100%逃れられないことなんだけど、あまりにそうなのでついつい日々そんなこと忘れて過ごしてしまう。
やっぱり忘れてしまっていいことではないんだよ、と ぽん と肩を叩かれてささやかれた。でもそれでこそ生きてる日々が輝いてくるのだけど。