いつだって ともだち

いつだって ともだち (世界の絵本(新))

いつだって ともだち (世界の絵本(新))

卒業近い子供たちに どんな絵本がいいのか 探していて、お勧めとして紹介されていた絵本です。

卒業は 親しんだ友達や学校との別れがあります。
この絵本は 親しかった友達が 突然遠くへ行ってしまって その悲しみを乗り越えてゆく過程が 描かれています。

アフリカの大草原に暮らす小象のペノはフレディという 大の仲良しがいて、毎日一緒に遊んでいました。
ところが フレディの一家は 別の草原に行くことになってしまいました。
フレディが去ったあと ペノは すっかり元気を失くし うらみや悲しみで沈み込んでしまいます。
まわりの象が 元気付けようとしますが ペノの心には伝わりません。ほかの友達とあそんできなさい と言われて いってみても よけいに フレディが恋しくなって 悲しみは増すだけ。

そこで 遠くの森に住む、知恵者であるふくろうに 教えを請いに旅にでます。 ふくろうは ペノに おまえができることは3つある と 教えてくれます。

がまんせずに 泣きたいだけ なくこと ぶあつい雨雲も雨を降らせばきえてしまう。

かなしいきもちを だれかに話すこと。 かなしみをわかってくれる人に。

こころの中にともだちの部屋をつくること 想い出をしまっておくために。

ペノは この3つのことを行うことで 悲しみを受け止め 乗り越えてゆくのです。



このプロセスを踏まずに 無理に次へ進もうとしても 空回って よけいに辛くなってしまうだけ。
時間はかかるけれど そうやって 乗り越えてゆくしかない。


この絵本では ペノはもうフレディに会うことはなく フレディの居ない 新しい世界で
元気に生きてゆきます。

動かしようのない現実は その中で 新しい気持ちで生きてゆくしかない。
でもそのためには 必要なプロセスがあり 1人だけでは乗り越えられないこともある。

東北の震災のあとに もう一度 この絵本を読んでみると
とても重く 響いてきました。