もしもし下北沢 よしもと ばなな

もしもし下北沢

もしもし下北沢

見知らぬ女性と心中してしまったお父さん
残されたお母さんと、主人公の 私 は 下北沢という町であたらしい人生をはじめようとする。

夫を失った悲しみ 親を失った悲しみ 受け入れられないものを受け入れられないまま
でも 前向き過ぎず、後ろ向き過ぎず、下北沢の町とともに 日々生きてゆく。

書き手は娘である 私あるが、その母であり、夫を心中で失った妻に 私は
そちら側の思いに寄り添って 読んでしまった。

どうしようもない状況から すこしづつ 決してもう元にはもどれないけど
そこから 新しく始まってゆく過程

ばっさり切り倒された樹の切り株から 死んだようにみえた幹から
いつのまにか ひっそり芽が出て 小さいながらも はっぱを広げて
これからまた 伸びてゆこうとしてる そんな印象の小説だった。