つきのよるに
- 作者: いもとようこ
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2004/09/01
- メディア: 大型本
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いもとようこの絵本は絵が可愛らしくて、ちょっと可愛すぎるなあという感じがあったんですが、このお話は、とても力強く逞しいのです。
かもしかのお母さんが 暖かく、厳しく 息子を励ます言葉が 心に響く。「おまえはつよいんだよ」
母から離れて生きてゆく息子を支えるのは、母のくれた愛と、いつも見守ってくれているお月さま。
後書きに、動物の親子はこんなふうにきっぱりと子別れをして、去ってゆく親なのに、人間となると・・のようなことが書いてあった。
この潔さはどこから来るんだろう。
かもしかのお母さんは後から心配になってこっそり跡をついてまわったりとか、
先回りして何か用意しておいたりとか、そんなことは、子別れしてからは絶対ないんだろうな。
そんなことしてたら生きてゆけないもんな。
そういう気持ちは、何かで、かちっと切り替わるようにできてるのかな。
人間にはそれがないのか、あっても原始の脳の奥に押しやられてるのか。
そんなことを考えつつ、でもこのお話の大きなところは、お月さまの存在。
身近にいてくれたお母さんは、傍にいなくなってしまったけれど、
いつもじっと見守ってくれている月は、その母をも包み込むおおきなもの、絶対的なものの象徴。
子供を見る母さん目線で読んでいたけど、いつしか、私も月の下に1人立つ、かもしかの子供であったと気がつく。
もう人生半分過ぎかけではあるけれど、でも、かもしかの子みたいに、立ちつくしてしまう時が、ある。
そんな時は、見守ってくれているお月さまから、力強い言葉をもらって、進んでゆけばいいんだよね。
大丈夫。「おまえは、つよいんだよ。」