食堂かたつむり

食堂かたつむり

食堂かたつむり

読み始めてしばらくは、軽くてお洒落で、天然系な雑誌を観るような感覚でした。手仕事で古い材料を生かして作られてゆく食堂の建物、料理のメニューはこだわった、オーガニックな素材で、ていねいな作業で、じっくりと作られてゆく。
レシピや風景を楽しんで・・・でも読み進めてゆくうち、主人公の抱える心の闇が明らかになってゆく。
闇を超えて、新しく歩きはじめるまでの物語。そこに、命を生かした食べ物の力が大きくかかわってくる。
こういう場所が、今、求められているんだと思う。あまりに、生命の魂から離れてしまった食べ物ばかりになってしまって。さらっと書かれているけど、こんな食堂、実際にやるとしたら、かなり大変だろうなあ。